昨晩深夜近くに某局のニュース番組を見ていたとき、ワクチン接種の話題になり、都道府県別の接種状況のニュースを流していました。で、ビックリしたのが、その番組のメインMCである女性キャスターが「今日のワクチン接種ランキングです」と言って、接種済み人口の割合で1位から47位まで都道府県の順位付けをしたリストを出してきたこと。「和歌山県がトップで、〇〇県が昨日の×位から一気にランキングを上げてきました」みたいな、まるで昔の「ザ・トップテン」のランキング発表みたいな事を言っている。
つい先日接種回数が1000万回を超えて、ここ数日中には2000万回を超えそうな勢いのワクチン接種。目標である一日100万人接種も遠からず達成しそうで、さらにそれ以上の接種スピードに加速していることは確か。今の所は、医療関係者への接種がほぼ完了して、高齢者対象の接種も予定よりも進んでいる自治体は、さらに対象年齢を下げたり一般接種へ対象を広げていますし、職場接種や大規模接種センターでのキャンセル分を利用して、当日キャンセル待ちでの対応なども始まっています。自分の住む浜松市は、残念ながら接種が進んでいるとは言い難い状況で、そう言う意味では一寸「どうなっているの」とは思うけれど、毎週日本に入ってくるワクチンが、ファイザー製が1000万回分で、モデルナ製はもう少し少ないのだろうけど、もしかしたら今月中にはその1週間分をその週内で使い切る来になりそうな勢い。そこに至るには、自治体レベルで色々な努力や苦労、さらには工夫や改善活動と、大変な時間を使ってきたんだろうけど、それを「ランキング」という形で表現するのは、個人的には好きじゃ無い。
勿論ニュースの必要性として、今どこがワクチン接種が進んでいて、何処が遅れて居て、それはどう言う理由なのかという事は、伝えるべき情報だと思う。でも、その場合でも「全体の何%が完了した」というのは必要な情報だと思うけれど、それが他地域と比べてどうなのかというのは、隣接地域同士なら気になるけれど、正直自分の住んでいる地域以外の情報って、そんなに必要とは思わない。ましてや、その割合を持って「ランキング」する事の意味が分からない。例えば、今都道府県単位でワクチン接種のコンテストをしていて、そこで優勝したら賞金が貰えるとか言うなら、確かランキング報道の必要性はあるかもしれない。でも、そう言う競争意識を駆り立てるような報道が、担当者にはプレッシャーとなり、今取り上げているワクチン接種のミスにつながり、廃棄に繋がる可能性も高いと思うんですよね。ミスによる廃棄報道も、どう言う原因からどう言う状況でそう言う廃棄が発生したのかは、他地域でもLL (Lessons Learned)として共有するべきだと思うけれど、「何処の誰がどうした」まで伝える必要は無いと思うし、その廃棄量がワクチン接種に影響するような、例えば「10万個、100万個のワクチンが廃棄された」のでも無い限りは、「何回分廃棄した」という情報は不要だと思う。実際、現在2000万回近くワクチン接種が進んでいて、何らかの理由から廃棄されたワクチンは7000回分と言われているけれど、割合から言ったら0.05%程度。製品によって、その「不良率」には定義は異なるけれど、まだ本格的にワクチン接種が始まって一月位で、しかも超低温管理等いろいろ手間暇掛かるもので、この数値は立派だと思う。
全体の傾向を伝えるために、有る程度定量的な情報も必要な事は確か。でもそれならば、「今日現在のワクチン接種率は、全国平均では〇〇%で、最も先行している××県では△△%の接種が完了しています」で十分だと思う。ランキング発表をして、高ランキングの土地に行ったら直ぐにワクチン接種出来るならまだしも、基本的には自分の居住地で、かかりつけ医から接種を受けるというのが、基本的なルールなんですからね。そんなランキング発表している余裕があるなら、大規模接種センターでのキャンセル待ち具合とか、職場単位での接種や地域巡回接種のように、少しでも余裕が出たら対象者を広げていち早く集団免疫獲得をするための後押しをするべきじゃ無いだろうか。それを「ランキング」という視聴者の興味だけを引く目的の報道をする事に、どれほどの意味や価値があるのか分からない。番組MCの著名女性キャスター氏も、何か嬉々としてランキングを伝えていたように感じたけれど、今はもっと冷静な客観的な報道こそが、今要求されている報道じゃ無いだろうか。
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