無節操な放送順序

歳のせいか、最近「やるせないなぁ」と特に感じるようになったのが、テレビの放送順序というか前後の関係を無視した配信。例えば、熱海の土石流のニュースがここ数日一日中流れてきますが、「それだけ」を放送しているわけでは無く、当然その前後には別のニュースが流れてきます。ここ最近だと、大谷選手のホームランの話題の後に熱海の土石流の映像が流れてきたりすることも。それ以外にも、少し前にあった集団下校中の児童の列に、飲酒運転のトラックが突っ込んで死傷者が出たニュースも悲惨な事故だったのに、画面が切り替わるとお笑いの話になったり、明るい感じのCMが流れてきて、「何だかなぁ」と感じる事が少なくない。

 そんな大きな事件事故に関連しなくても、日々のニュースやワイドショーとか見ていると、悲惨な話や話題の後に、突然ゲームのCMが楽しそうに始まったり、放送中の番組でコーナーが変わると、突然暗い話題から明るい話題になったりと、正直前後の繋がりって考えずに放送順序を決めているのか不思議を通り越して疑問を感じるくらい。少なくともTV-CMに関しては、予めこの企業とは何秒のCMをどのタイミングで挿入するとか決まっているだろうから、中々放送内容に沿った形でCMを挿入する事は難しいのかもしれないし、突発的なニュースとか入った場合は言うまでも無い。でも、そうでは無い番組構成の話であれば、予めそう言う事の無いように前後のつながりは慎重にプランするべきでは無いだろうか。

例えば、1時間の放送枠のあるワイドショーで、どこでどの様な話題を提供するかは、視聴率競争もあり中々決められないことも理解出来ます。最初に旬な話題を持ってきてチャンネルを止めてもらい、その後当たり障りの無い話題が続いたら、20分後くらいには刺激を入れるために、また大きな話題を入れたいとか、30分またぎでもチャンネルを固定して貰うために、その前後にも興味を引く話題を入れるとか、その日その日が戦いである事は確か。昨日中心になった話題であっても、今日も話題になるとは限らないし、全体としてのコーナー構成は決まっているんだろうけど、その中身に関しては毎日変更されるし、良くある舞台裏の話を見ると、それこそ放送直前まで差し替えも発生しているし、中々コントロールする事も難しいでしょう。

それでも、やっぱり悲劇的報道の後で、お笑いの話題は止めて欲しいし、悲惨な事故の後に自社のCMが入るのも提供企業としては望ましくないでしょう。同じような事は視聴者側も感じるわけで、例えば今回の熱海の土石流のニュースの後は、可能なら10秒とか暗転して精神的にカームダウンする余裕を入れるようなことは無理なんだろうか。東日本大震災の後、その後のニュース映像などで津波の映像が流れる場合には「この後津波の映像が流れます」というような事前テロップが入り、精神的な影響を減少させているけれど、ああいう配慮が配信直後にも必要じゃないだろうか。テレビ局としては、そういうブランク状態が発生すると、その瞬間にチャンネルを移動されるという危機感みたいなものも有るんだろうけど。場合によっては、「これから7分25秒間、悲しいニュースが続きます」とか配慮する対応が要求されるのかもしれない。世の中、良い事悪い事も悲しいこともうれしい事も混在しているけれど、それをテレビのように集中して提供させられるのもちょっと辛いなと感じる年代になってきました。


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