飽和攻撃

高校生へのワクチン接種を決めた奥尻島役場へ、抗議の電話が集中し業務が滞っているという記事。その内容では無く「数」による攻撃というか、もうここまで来たら「暴力」ですよね。勿論、行政に対して何か不満や不信感あるいは意見があれば、それを伝える事は何の問題も無い。より良い行政実現のために、それは必要な行為。でも、同様の案件が全国各地で発生しているけれど、意見を電話してくるあるいはメールしてくる人の多くは自治体外からの行為で、しかも「意見提供」というよりは「主張押し付け」みたいな事ばかり。中には脅迫めいた発言もあるようで、それは通常の行政に対しての意見では無く、公務執行妨害として取り扱うべきだと思う。

この手のの行為は、所謂「電凸」として暫く前にメデイアが取り上げていたけれど、それは自分の気に入らない企業に対して、多数がクレームや質問を集中させることで、業務を停滞させたりして、企業側にその決定を覆す事を強いる行為。ただ、それ以前の「電凸」というのは、誰もわざわざやらないような問合せを、一部有志が問合せをして情報を精査するような事だったずなんですよね。「電話で問合せしてみました」という事を「電話で突撃してみました→電凸」となったもの。そう言う意味では、企業側にとってはあまり明確にしたくないような事柄や、回答しづらいものも有ったりするけれど、結構問い合わせてみたら丁寧に対応して貰えました、という事も少なくなったと思います。それがいつの間にか、多数が「問合せ」という名目で、集中的に企業に電話して業務停滞を意図した妨害行為をすることになってしまった。

さらに問題なのは、今回のこの現象は「〇〇役場の電話番号は××です」というような、回りを先導するような情報がSNSを通じて拡散されて、元と問題意識を持っている人が行動するならまだしも、まったくの「愉快犯」的な参加者まで表せて混戦させていること。ネットの匿名性が、現実社会ではしないような行動を安易に誘発してしまうことは以前から指摘されているけれど、その特性が悪用されたというか、まんまと乗せられたというか、ある意味ネットやSNSの特性を上手く利用した行為ではあるんですよね。それによって、これまでなら社会の中に埋もれていたような意見や声も、多くの人の目や耳にとまるようになり、そこから新しい動きであるとか支援活動が始まったり広がったりすることもある。ただ、何時の時代もどんな場合でも、良かれと思って絵動き出した物を悪用とまでは言わないまでも、暗黙のルールを破って利用する人間は現れるもので、今回もその類の行為。現実世界なら、その行為が過剰であったりはみ出したりすれば、物理的に自分に対しての反応があるから、痛みも感じるんだろうけど、ネットではそれがありませんからね。一度味を占めてしまうと、ますますエスカレートしていくだけ。

例えば、今後は問合せの時には、良くあるように「この電話はサービス向上のために録音されています」みたいなアナウンスを流すとか、企業同様行政側もそれなり対策をして、余りにその行為が目に余るようであれば、その時は司法に訴えてちゃんと対応するべきだと思う。勿論、その場合も訴える側にも冷静な判断と決定が必要だけれど、少なくとも国の方針として接種拡大を要請して、それに沿っての行動なのだから、文句があるなら国に言うべきだし、わざわざ小さな自治体を選んで飽和攻撃みたいな行為をする側には、全く同意も賛成も出来ない。自分の主張を明らかにすることは当然だけれど、やはりその為にはそれなりのルールは守るべきで、ルール無視の行為行動に関しては、受ける側もそれに応じた対応で良いと思う。そう言うと、「独裁政治はいつまでたっても正せない」という話が出されるかもしれないけれど、そう言う場合とは雲泥の差がある今回の話の場合なわけで、そう言う極端な事例を理由として行動するから、こう言う人達はいつまでたっても広く理解も支援もされないのだと思う。で、問題なのは、本来そう言う事を一番に諫めないといけないメディアが、そう言う事をやらずに、場合によっては荷担していることもあることだと思う。

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