中国の広東省台山原子力発電所で発生した、燃料棒破損事故。当初は否定していた中国政府も、実際の観測値を隠蔽する事も出来ず、渋々事実を認めたと言う事なんだろうか。ただ、福島第一原発の処理水にあれだけ騒ぐ人達が、この件に関しては一向に反応していないのが、なんともはや。
地理的に見れば、この原発は香港のすぐ西側、電子製品の一大製造拠点の深圳市の隣みたいな所にある原子力発電所。約6万本有る燃料棒のうち5本に破損が有ったと言う事で、実際にはそんなに大きな被害では無いらしいけれど、これが日本の原発で発生してたならば、とんでもない騒ぎになっていたことは火を見るより明らか。幾ら隣国の話ではあっても、日頃に本の原子力発電に一言もの申している人達は、何かコメントするべきではと思うのですか。程度は小さいのかもしれないけれど、地勢的に日本の西側にあるのだから、ジェット気流に乗って日本へ影響が及ぶことは確かだし、 特に福島原発の事故で沖縄とか石垣島とかに避難した人にとっては、とんでもない事だと思うのだけれど。
トリチウム水放出に関しても、福島第一原発から放出される処理水以上にトリチウムを含む韓国や中国、さらにはフランス等の原発に関しては何も言及していないのだから、あえて今回の中国原発の事故に関しても言うはずは無いと思うけれど、それにしても余りに酷いダブルスタンダードというか、一方的に近視眼的立場にちょっと怒りに似た気持ちすら浮かんできます。こういうことをやっているから、将来的に原発ゼロという主旨は理解出来ても、今の活動内容や主張には全く同意できない。と言うか、同様の事例は例えば再生可能エネルギーとか幾らでもあるんだけれど、結局は同じような人・グループが同様の主張を繰り返しているので、全く説得力は無いし耳に入れる必要も無いと思うくらい。他人に何か主張をして理解する・賛同して貰うためには、その主張に自分が納得出来る理由が必要だと思うんですよね。「個人の人権は憲法で保障された権利」と言う事は全く正しい事柄なんだけれど、だからと言って「個人の人権」の名の下に何をしても良いわけでは無い。その人が自分のために「個人の人権」を主張することは自由だけれど、その結果が他の人の「個人の人権」を侵害することも有るかもしれない。
重要な事は「個人の人権が尊重される」事であり「個人の人権が執行される」事では無いと思うんですよね。大体、処理水放出の話が出た少し前にはあれだけ毎日騒いでいたのに、今は福島の「ふ」の字も出てこない。まぁ、実際に何か処理水に関しての動きがまた出てくれば以前のように騒ぎ出すんだろうけど、何かあった時にしか騒がない「イベントドリブン」な行為というのは、結局その事象(=イベント)を解決したいのでは無く、利用したいだけなんでしょうね。個人的には、次の画期的な技術が生まれてくるまで、現行の原子力発電というものは経済活動だけで無く社会生活など全ての部分で基盤となるものだと思うし、だからこそより安全性を追求しつつまだかなりの時間必要なものと思っています。だからこそ、今不安が存在している安全性に関しては、場所や国の違いにかかわらず公正な批評はするべきだと思うし、そう言う事が福島第一原発の問題処理を加速させるものだとも思っています。
コメントを投稿