不思議な値上げ価格

朝日新聞が27年振りに購読料を値上げするという記事。デフレ脱却のためには、消費者としては痛いけれど市場価格は上がらないといけないわけで、そう言う意味では新聞料金の値上げもそのうちの一つだと思うし、企業活動として色々影響はあるんだろうけど、自然なことと感じます。でも、ちょっと不自然なのが改訂後の価格。

 朝夕刊セットが、4037円から4400円に、朝刊のみは3093円から3500円(価格は全て税込み)に改訂されるということなんですが、何故改訂後の税込み料金が「4400円」とか「3500円」と100円単位で区切りの良い料金なんだろうか。新聞の消費税って、8%ですよね。だから以前の税込価格から、本体価格を類推すると、以下の様になります。

  • 4037円: 4037/1.08=3737.963≓3738円
  • 4400円=4400/1.08=4074.074≓4074円 (+336円, +8.99% up)
  • 3093円=3093/1.08=2863.888≓2864円
  • 3500円=3500/1.08=3240.740≓3241円 (+377円, +13.16% up)
本体価格の改定は1993年12月27年7ヶ月振り」と書いているんだけれど、「3738円」とか中途半端な価格だったのだろうか。普通は、集金の時に手間にならないよう、少なくとも10円単位に丸めると思うのだけれど。で、最大の疑問は、一般的には10%の消費税が、新聞には軽減税率が適用されていて8%になっているのに、改訂後の価格が税込みで「4400円」とか「3500円」と切りがよい価格に設定されていること。これって、世の中的には10%だから、本体価格4000円、3180円と思わせておいて、実は本体の値上げ率はもっと大きいことを隠しているんじゃ無いかと邪推(笑)。だって、今でも1円単位の価格で販売しているのに、わざわざ100円単位で切りそろえる必要は無いわけですからね。しかも、より手間もコストも掛かりそうな朝夕刊セットの方が値上げ率が低くて、朝刊のみの方が値上げ幅が大きいのは、そちらの方が契約数が多いから何だろうし。

朝刊の一部売りが、150円から160円に10円アップ(こちらは消費税10%)されるので、一月分だと+300円のアップになります。となると、今の本体価格を2864円から300円上げると3164円になり、この税込み価格は3417円。31日分として310円アップしても、3428円となり、今回の改訂後価格3500円よりも安くなっていてもおかしくないはず。心の曇っている私としては、世の中の「消費税10%」という思い込みを利用して、軽減税率8%からの2%の差分を上手く上乗せしているようにして見えない(笑)。

まぁ、価格設定は企業側の裁量だから、それで購読者が減れば困るし、安いままで経営が成り立たなくても困る。その塩梅を考えての設定だろうから、実際に7月に新価格になってからどうなるのかは分からない。でも、幾ら公共メディアと言っても、ずっと同じ価格を維持しなくてはいけないわけではないし、デフレ脱却のためにも価格は上げて社員の給与も上げるなら、それは社会のためになると思うんですよね。でも、その理由として、

ネット上にフェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増していると考えています。

は無いだろう。自分達もその「フェイクニュース」の一部であり、過去色々と問題を起こしてきたのに、ちゃんとその反省もしていないし、対策もしてこない。逆に、自分達の報道が「真実」という変な正義感に凝り固まって、ますます先鋭化しているのが、この朝日新聞だったりその他一部メディアの問題点じゃ無いだろうか。 報道機関と言え、私企業である以上は、色々経営努力もするだろうし、価格改定だって必要。ただ、その根本にある考え方が偏ったままでは、どんどん読者や購読契約者は減っていくだろうし、メディアとしての意義も薄れていくでしょう。以前も書いたけれど、日本の新聞メディアで最初にHPを解説したのは、朝日新聞だったんですよね。だから30年位前に海外出張すると、必ず「asahi.com」にアクセスして、日本の情報を貪るように読んだものでした。それだけ信頼されていた存在だったのに、あれからあっと言う間に今みたいな状態になってしまい、その後を追うようなメディアも増えてきているのは、正直ネット資産の損失だと思う。私企業だから、独自の考えやルールを持つのは良いと思うけれど、それが理解されるような公平な論評なり、批評なりを提供してくれないと、それは単なるアジテーションでしか無いと思う。そんな状態が続けば、次の価格改定は無いかもしれませんね、会社自体が無くなることで。

Post a Comment