友好は秘密裏に

一時は流入禁止措置と、徹底した行動履歴把握で国内感染をほぼ完全に食い止めた台湾です。しかし、蟻の一穴じゃ無いけれど国際線パイロットが持ち込んだ新型コロナウイルスが、 感染処女地みたいな環境ですから急拡大して大変な状態に。色々事情や問題は有ったんでしょうけど、人口約2350万人に対してワクチンの接種率は3%(約70万人)と低く、かつ在庫のワクチンも払底した状態。世界中でワクチンの獲得競争が進んでいて、一時期よりは少し余裕が生まれてきた気もしますが、それでも中国からの横槍の話も出て、厳しい状況である事は確か。

そんな中で、十分にワクチンを確保している日本に対しての援助要請があり、今日124万回分のアストラゼネカワクチンを提供することに。元々台湾は、このアストラゼネカ製ワクチンとモデルナ製ワクチンを使用する予定なので、その一つであり日本では今の所使用予定は無く、国内製造も含めて大量に備蓄というか確保しているアストラゼネカ製ワクチンを融通することは、誰も困らずみんなが助かるスキーム。多分ネックとなるのは、その国内製造分のワクチンを国外に融通することだろうけど、その分台湾から後から戻して貰ってもいいわけだし、まぁ世界的なこういう状況ならば、幾らでもやり方は見つかるでしょう。

しかしビックリしたのは政府の決定の速さと、今日の午後には台湾にワクチンが届くという行動の素早さ。台湾でワクチン払底の話が出てきたのは、メディア的には先月の26日頃。そこから、一週間一寸で決定からワクチン輸送まで進むのは、これまでの日本の様々な国際的な対応行動を見ても異例の速さじゃないだろうか。勿論、ニュースに出る以前から水面下での交渉や折衝はあったんだろうけど。さらに言えば、COVAXのワクチンサミットが2日にオンライン開催されていて、ここで日本として8億ドルを追加支出する事を表明。すでに明言している2億ドルと合わせて10億ドルを供出する事に。さらに、自国で確保しているワクチンのうち3000万回分を供出することも表明して、ワクチン不足の地域・国への支援をする事を表明。これを待っての、台湾支援実行だったんじゃ無いだろうか。そうすれば、実際の流れは別々であったとしても、COVAXでの決定の延長として台湾支援に関しても堂々と主張出来るわけですから。そうなると、台湾支援決定はもっと早く決定していて、後はタイミングを見ていただけ、と言う話にもなりますね。こちらの記事を見ると、やはり最初はCOVAXのスキーム利用を考えていたけれど、安倍前総理らからの発言でそれとは別に先ず支援することになったと書かれています。中国側から途中で横槍を入れられないように、かなりの情報戦が展開された様子も垣間見えていて、そう言う意味では日本もやっと普通の国になりつつある印象も受けます。さらに言えば、「6月4日」はあの「天安門事件」が起こった日。中国国内では、すでに「無かった歴史」になりつつ有るのかもしれないけれど、世界的にはまだまだ衝撃的な事件だったわけで、今日台湾のことを取り上げると、この話も話題に上る可能性が高い。そんなことも見越して決定していたとしたら、ちょっと日本を見直して良いかも。

ここで、もし自分が某野党の議員で与党叩きに生きがいを感じていたとしたら(笑)、この記事

外務省は当初、コバックスを通じた提供を検討したが、安倍氏らから「それでは時間がかかりすぎる」との声が上がった。

当たりの部分を切り出して、「これは菅政権の決定では無く、安倍『院政』政治の決定的証拠ではないか!」とでも言うのだけれど。と言うか、そう言う事を蓮舫議員当たりが言ったら面白いというか、完全に自己矛盾している気がするけれど。 そんなことを言い出したら、立憲民主党だって3人の「元総理」の意見を聞くこともあるだろうし(でも、もし有ったら悲劇だけれど)。いずれにしても、昨晩くらいにこの「4日にワクチン台湾輸送」のニュースが流れると、台湾からも日本からも歓迎の声が多数。個人的にも、台湾は渡航先としても何度か訪問しているし、雰囲気や環境の馴染みやすさもあって、好きな場所の一つ。極端な話、「日本台湾連邦」なんてものを、将来的に作ってもいけるんじゃね、と思っているくらい。さらに言えば、太平洋諸島などの国にも広げて「汎太平洋連邦」みたいなスキームが出来ても良いんじゃ無いかと思うくらい。まぁ、そうなればそうなったで、「戦前の大東亜共栄圏思想を再現する物で、日本敵国の侵略的思想だ」とか言い出す人も出てくるんだろうけど。まぁ、話がかなり飛躍してしまったけれど、今の時代物理的な移動手段が発達していて、台湾とか韓国くらいなら日帰りでの出張も可能な時代。さらに情報伝達はもっと進んでいて、それこそ隣の家と電話するのと何ら変わりなくテレビ会議をする事も可能。話す言葉は日本語と北京語と異なるけれど、使用する文字はどちらも「漢字」。大陸中国が使用している「簡体語」のように省略されすぎて元の漢字が分からないものでは無く、日本でも私くらいの世代前後なら見たことも使ったこともあるように、昔の日本の漢字に近い「繁体語」を使っているから、街中を歩いていても何となく理解出来ることも多いですし。将来に向けて、今回の支援がまた一つ前向きに進むことを祈りたいですね。

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